「運動神経ゼロの自分に、本当にできるのか」
初めて社交ダンスの体験会に参加した時、多くの人は同じような不安を感じるかもしれません。
「運動神経がないけど大丈夫だろうか」
「リズム感がない自分には無理ではないか」
「難しいステップを覚えられるだろうか」
社交ダンスという言葉から、多くの人が想像するのは、華麗な回転や複雑な足型です。
テレビや競技会で見るダンサーの姿は美しく、同時に「自分にはできない」という壁を感じさせます。
ダンスとは、特別な才能を持った人が、難しいステップを暗記して披露するもの。
最初は、そう思っていました。
しかし、実際の体験会で最初に言われたことは、意外なものでした。
「まずは歩いてみましょう」
最初は歩くだけ。でも、それがダンスだった
ダンスの基本は、足を動かして移動することです。
私たちは普段、何も考えずに歩いています。
右足を出す。
左足を出す。
また右足、左足。
実は、それだけでダンスの大切な要素を持っています。
ところが、ダンスを始めようとすると、急に難しく考えてしまいます。
「右足はこう出す」
「次は左足」
「体重はどちらに乗せる」
「足の向きはどうする」
もちろん、上達していくためには身体の使い方を学ぶことも大切です。
しかし、初めて踊る人にとって、細かい説明が増えるほど、普段自然にできている「歩く」という動作まで難しく感じてしまうことがあります。
歩く時に、毎回「右足を出して、体重を移して」と考えている人はいません。
自然に歩いています。
ダンスも最初は、それでいいのです。
音楽に合わせて、右、左、右、左。
歩くように動くだけです。
でも、前後に歩くと不安になる
ただし、初めて相手と組んだ状態で前後に歩こうとすると、不安が出てきます。
「相手の足を踏んでしまったらどうしよう」
「ぶつかったら申し訳ない」
「次の足が分からなくなった」
歩くことは簡単なのに、相手がいることで急に緊張してしまいます。
そこで、最初の練習としておすすめなのが横歩きです。
カニ歩きのように横へ動くだけなら、相手の足を踏むことも、ぶつかることも少なくなります。
安心して、相手と一緒に動く感覚を覚えられます。
大切なのは、正しいステップではありません。
音楽を感じること。
相手を感じること。
一緒に動くこと。
それが最初のダンスです。
「踊れている」という不思議な感覚
音楽が流れます。
知っている曲です。
そのリズムに合わせて、相手と一緒に横へ動く。
すると、不思議な感覚が生まれます。
「今、自分は踊っている」
難しいステップを覚えたわけではありません。
回転したわけでもありません。
ただ、相手と音楽を共有して動いているだけです。
それでも、そこには確かにダンスがあります。
この瞬間、ダンスに対する考え方が変わります。
ダンスとは、ステップを暗記して再現するものではない。
相手との非言語の会話なのだ、と気づくのです。
ワールドスタイルのブルースなら初日から楽しめる
初心者が最初に楽しみやすいダンスの一つが、ワールドスタイルのブルースです。
ブルースは、歩くことを基本にしたダンスです。
難しいステップを覚えなくても、音楽に合わせて相手と歩くだけで楽しむことができます。
「これで踊っていると言えるの?」
最初はそう思うかもしれません。
でも、相手と組み、音楽を共有して動いているなら、それはもうダンスです。
バチャータも、まずは音楽を感じることから
ペアダンスには、バチャータのように初心者でも音楽を感じやすいダンスもあります。
バチャータは、基本的なリズムを感じながら、相手との距離感や動きを楽しむダンスです。
最初から複雑な動きを覚える必要はありません。
例えば、女性側の基本的な足の動きは、
右足。
左足。
右足。
左足つま先。(ここだけちょっとムズイ)
というように、音楽のリズムに合わせて動きます。
※男性は反対側の足から始めるため、基本的には左足、右足、左足、右足という動きになります。
大切なのは、足順を覚えることだけではありません。
リズムを感じる。
相手と合わせる。
一緒に楽しむ。
そこから少しずつステップを増やしていけばよいのです。
4拍子は、右・左・右・左
初心者レッスンでは、4拍子の音楽から始めることが多くあります。
でも、難しく考える必要はありません。
「1・2・3・4」というリズムに合わせて、
右足。
左足。
右足。
左足。
と動けば、自然に4拍子になります。
まずは音楽を聴く。
一緒に動く。
曲に合わせて動けたことを喜ぶ。
それが大切です。
ダンスは特別な才能ではない
人は楽しい時、自然に身体を動かします。
好きな音楽を聴けば、足でリズムを取ることがあります。
子供は音楽が流れると、踊ったり、スキップしたりします。
誰も最初から難しいステップを知っていたわけではありません。
音楽を感じたから、身体が動いたのです。
社交ダンスも同じです。
歩ける人なら、踊れる。
音楽を感じられる人なら、楽しめる。
最初から難しいことをする必要はありません。
まずは、音楽を聴いて、相手と一緒に動いてみる。
その瞬間から、あなたのダンスは始まっています。
※最初からスキップのような複雑なステップは踏みません。