どんな音楽でも踊れることを目指すダンス教育メソッド
社交ダンスというと、多くの人は「ワルツを習う」「ルンバを習う」「タンゴを習う」といったように、種目ごとにステップやフィガーを覚えていくものを想像します。
しかし、World Style(ワールドスタイル)は少し発想が異なります。
World Styleは、特定の競技ルールや種目体系ではなく、
「ダンスをどのように教え、どのように身につけるか」
を体系化した教育メソッドです。その目的は、単に種目を踊れるようになることではなく、
どんな音楽が流れても、パートナーと踊れるようになること
にあります。
World Styleの本部と教材
World Styleは、AJDT / IDC(国際ダンス本部)がまとめた教育体系です。
発行されている教材として、『The Method of World Dance Style』があり、これはダンスの技術書ではなく、指導者向けのガイドブックとして位置付けられています。
内容は、
- ワールドスタイルの考え方
- ダンス教育の理念
- 指導者の役割
- 教授法(教え方)
などで構成されています。
また、日本では助川友朗氏を中心とした活動や、助川ダンス教室でこの考え方が実践されています。
扱うのは約20種目のダンス
World Styleは一つのダンスを教える体系ではありません。
教材では、
世界で踊られている約20種類のダンス
を扱う体系として説明されています。
つまり、
- ワルツだけ
- サルサだけ
- バチャータだけ
といった単一ジャンルの教育ではありません。
複数のダンスを統合的に捉え、
「ダンスとして共通する原理」
を学ぶことを重視しています。
なぜ「World Style」と呼ばれるのか
その理由は、
世界中のさまざまな音楽に対応できること
を目指しているからです。
現実のダンスパーティーやイベントでは、
- ワルツ
- スイング
- ラテン
- ポップス
- ロック
- 映画音楽
など、さまざまな音楽が流れます。
そのたびに、「これは何の種目だろう?」と考えていては踊れません。
World Styleでは、まず音楽を感じ、その音楽に合う動きを選び、パートナーと共有することを重視します。
レッスンの特徴
World Styleを経験した人の感想としてよく見られるのが、
「説明より踊っている時間が長い」
というものです。
一般的なレッスンでは、
- ステップ説明
- フィガー説明
- 足型確認
に多くの時間を使うことがあります。
一方でWorld Style系の指導では、
- 音楽を流す
- 実際に動く
- 修正する
- また踊る
という流れが多く見られます。
そのため、
「習ったというより、気が付いたら踊れていた」
という感想につながることがあります。
種目ごとに習っている感じがしない
World Style経験者の感想で興味深いのが、
「種目ごとに習っている感じがしない」
というものです。
もちろん扱うダンスは多数あります。しかし学習者の感覚としては、
- ワルツの時間
- タンゴの時間
- スイングの時間
というよりも、
音楽に対してどう動くか
を学んでいる感覚が強くなります。
フィガーは「暗記するもの」ではなく「使うもの」
World Styleではフィガーそのものを否定しているわけではありません。
実際にはさまざまなフィガーを使います。
しかし、その扱い方が特徴的です。
フィガーは、
「覚えたら終わりの完成品」
ではなく、
「音楽や状況に応じて使うための道具」
として扱われます。
そのため、同じフィガーであっても、
- 速い音楽
- ゆっくりした音楽
- スイング系の音楽
- ラテン系の音楽
では、使われ方や見え方が変わります。
ダンスを関係性として学ぶ
World Styleが重視するもう一つの特徴は、
「二人で踊ること」
です。
ダンスは一人で完成するものではありません。
リードする人がいて、フォローする人がいて、初めてダンスになります。
そのため、足型の正確さだけでなく、
- 相手を感じる
- 相手に伝える
- 相手に合わせる
という関係性の学習が重視されます。
World Styleが目指すもの
World Styleが目指しているのは、競技会で高得点を取ることでも、特定種目を完璧に踊ることでもありません。
目標はもっとシンプルです。
音楽が流れたら踊れること
初めて会った相手とも踊れること
どんな場面でもダンスを楽しめること
そのために、音楽・身体・パートナーとの関係を総合的に学ぶ教育メソッドとして構築されています。
まとめ
World Styleは、AJDT / IDCがまとめたダンス教育メソッドです。
約20種目のダンスを対象としながらも、種目ごとの暗記を目的とするのではなく、
- 音楽を感じる
- パートナーと関係を作る
- フィガーを道具として使う
- どんな音楽でも踊れるようになる
ことを目指します。
言い換えれば、
「種目を覚えるダンス教育」ではなく、
「踊れる人を育てるダンス教育」
それがWorld Styleの考え方です。